こんにちは、ざわ(@grow78374)です。
今回も公認心理師法について思ったことを書いていきたいと思います。
本記事のテーマは「試験」についてです。
公認心理師になるためには国家試験を受けなければなりません。
その試験を受ける為にも必要な資格などが用意されていますが、それは順を追ってみていきます。
第一章はコチラ↓↓
公認心理師試験の受験資格
公認心理師の国家試験受験資格は以下の通りです。
(資格)
第四条 公認心理師試験(以下「試験」という。)に合格した者は、公認心理師となる資格を有する。
(試験)
第五条 試験は、公認心理師として必要な知識及び技能について行う。
(試験の実施)
第六条 試験は、毎年一回以上、文部科学大臣及び厚生労働大臣が行う。
(受験資格)
第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者
二 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの
三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者
第七条ですが、下の図を見ればより分かりやすいかと思います。
第七条は、この図の区分Aから区分Cの所に該当します。
区分D1、D2は、公認心理師法が施行される前に卒業した人や、施行される前に入学し、在学中に法律が施行されて科目が変更された人向けのようですね。
公認心理師の国家試験を受けるためには、基本原則として「4年制大学で指定の科目を履修して卒業する」「大学院で指定の科目を履修して卒業するか、実務経験数年(実務経験5年は、法律施行後5年間に限る)」を達成しなければなりません。
なので、編入の場合は3年次編入ではなく、新しく入学する形でならチャンスはあるということですね。なるほど見落としそう。
試験を受けるための手続きや注意事項
また、試験にあたっての注意事項などは次の条文に書いてあります。
(試験の無効等)
第八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。
(受験手数料)
第九条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。
2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。
第八条、第九条は試験を受けるための受験料や注意事項が書かれています。
受験料ですが、公認心理師法施行令(平成29年政令第243号)第2~4条、登録免許税法によると
登録手数料:7,200円
登録免許税:15,000円
と定められています。いずれも税込みの金額です。
受験料はまだしも、登録手数料と免許税がかなり取られてしまいますね。出費痛い。
(指定試験機関の指定)
第十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2 指定試験機関の指定は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 申請者が、一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。
二 申請者がその行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
三 申請者が、第二十二条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定試験機関の役員の選任及び解任)
第十一条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十三条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
(事業計画の認可等)
第十二条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、文部科学大臣及び厚生労働大臣に提出しなければならない。
(試験事務規程)
第十三条 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下この章において「試験事務規程」という。)を定め、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 試験事務規程で定めるべき事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
(公認心理師試験委員)
第十四条 指定試験機関は、試験事務を行う場合において、公認心理師として必要な知識及び技能を有するかどうかの判定に関する事務については、公認心理師試験委員(以下この章において「試験委員」という。)に行わせなければならない。
2 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、文部科学大臣及び厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があったときも、同様とする。
4 第十一条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。
(規定の適用等)
第十五条 指定試験機関が試験事務を行う場合における第八条第一項及び第九条第一項の規定の適用については、第八条第一項中「文部科学大臣及び厚生労働大臣」とあり、及び第九条第一項中「国」とあるのは、「指定試験機関」とする。
2 前項の規定により読み替えて適用する第九条第一項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
秘密保持義務など
また、試験に関する情報などは、厳正に管理されるため、その取扱いについては次のように定めています。
第十六条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあった者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(帳簿の備付け等)
第十七条 指定試験機関は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、試験事務に関する事項で文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
命令や検査、試験の中止など
他にも試験の際に何かしら問題が生じた場合、この法律の監督権限のある文部科学大臣または厚生労働大臣が、必要な立ち入り検査や命令を指示することができるそうです。
(監督命令)
第十八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告)
第十九条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第二十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(試験事務の休廃止)
第二十一条 指定試験機関は、文部科学大臣及び厚生労働大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(指定の取消し等)
第二十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が第十条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十条第三項各号の要件を満たさなくなったと認められるとき。
二 第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)、第十三条第三項又は第十八条の規定による命令に違反したとき。
三 第十二条、第十四条第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。
四 第十三条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行ったとき。
五 次条第一項の条件に違反したとき。
(指定等の条件)
第二十三条 第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項、第十三条第一項又は第二十一条の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
(指定試験機関がした処分等に係る審査請求)
第二十四条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、文部科学大臣及び厚生労働大臣に対し、審査請求をすることができる。この場合において、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項及び第二項、第四十七条並びに第四十九条第三項の規定の適用については、指定試験機関の上級行政庁とみなす。
(文部科学大臣及び厚生労働大臣による試験事務の実施等)
第二十五条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が第二十一条の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第二十二条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
(公示)
第二十六条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一 第十条第一項の規定による指定をしたとき。
二 第二十一条の規定による許可をしたとき。
三 第二十二条の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
四 前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき又は自ら行っていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
このように、試験についてはあらゆることが文科省、厚労省の監督の下で行われますが、前例のないことや細かい規定などの際には、原則文科省・厚労省令で決められます。
(試験の細目等)
第二十七条 この章に規定するもののほか、試験、指定試験機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
試験に関する規定で思ったこと まとめ
ここまで一通り公認心理師の国家試験に関してみてきましたが、いかがでしょうか。
法律なのでかなり難しく書かれていますが、簡単にまとめるとこんな感じです。
- 試験の監督は指定試験機関の役員や文科省・厚労省が行う。
- 受験資格は施行前と施行後で柔軟に対応される。
- 不測の事態が起きた時、文科・厚労大臣が指揮を執って立ち入り検査や試験の中止が可能。
- 試験に関する情報は機関によって厳正に管理される。
こういった手続きは確かに重要ですが、もっとコンパクトに試験に関する情報を管理できるようなシステムを組めるんじゃないかって思うところもあります。
あとは、大学在学中で法律が施行されたときのカリキュラムの変更に合わせて指定科目を上手くとらなければならないということですね。
そのあたりはまた別の記事で詳しく書こうと思います。
今回はここで終わりにします。
第一章はコチラ↓↓