こんにちは、ざわです。
最近、とある小説の最終巻が発売されたという噂を聞き、せっかくなら全巻セットで買おうと思っていたものがありました。
それが、タイトルにもある『恋人以上のことを、彼女じゃない君と。』です。
作品概要
作品の内容は以下の通りです。
<書籍の内容>
たのしくて・気を遣わない・ラフな関係。
元カノと夜を共にした。ブラックな仕事に疲れた山瀬冬は、ある日大学時代の彼女・糸と再会し飲みに誘う。愚痴や昔話に花を咲かせ、こういう友達関係もいいなと思っていた矢先、酒の勢いに呑まれてやってしまった。後悔する冬だが、糸は「謝っちゃだめ」と真剣な表情で制す。「ちゃんとしようとか言わないでよ。ただ心地良いから一緒にいようよ」糸も疲れていたのだ、社会が強要する正しさや、大人としての不自由さに。こうして二人は『仕事とか恋とか面倒なことは抜きで、ただ楽しいことだけをする』不思議な関係を結ぶ。社会に疲れたアナタに贈る、癒やしとちょっとエッチな短編連作。<編集者からのおすすめ情報>
コメディに定評のある持崎湯葉先生と、OLイラストがSNS等で大人気のどうしま先生がタッグを組んだ、社会人ラブコメ!
毎日の仕事や人間関係でお疲れなアナタに、「うらやましい!」と思えるようなお話を短編連作でお届けします。
ぜひ、日頃のストレスを本作で癒やしてくださいね。
持崎湯葉氏(@mochiyuba)
持崎さんは栃木県出身、東京在住のラノベ作家です。
代表作には『真面目系クズくんと、真面目にクズやってるクズちゃん』や、『陽キャになったのに俺の青春至上主義』などがあります。
過去の作品リストや受賞歴については、本人がnoteでまとめていますのでそちらをご覧ください。
どうしま氏(@doshimash0)
どうしまさんは主にOLのイラストで有名なイラストレーターです。
OLの描き方も本人が公開しているので、pixivやX(旧Twitter)でチェックしてみてください。
出会ったきっかけ
僕は以前からどうしまさんの絵が好きでフォローしており、今回この小説に出会ったのもどうしまさんがきっかけでした。
イラストがとても綺麗で優しい色合いも多く、OLのお話ではとても穏やかで平和的なストーリーが多いのでとても好きです。
そして、そのどうしまさんが今回タッグを組んだのはラノベ作家の持崎さん。
タイトルを見てまず違和感を覚えました。
『恋人以上のことを、彼女じゃない君と。』…
恋人でもない人と恋人以上のことって一体何をするのだろうか?
なんだかその響きに興味がわいたので、せっかくだからと全4巻を一気にメルカリで探して購入しました。
実は1巻は2022年から出版されていましたが、その時の僕は大学院生でまだ社会の辛さとか現実の理不尽さとか全然知りませんでした。
なので、そこで読むのは違うだろうと思って読まなかったのです。
今は社会人になり、僕自身はあまり受けていないですが、現実の辛さを周りの友達が話しているのを聞いて、その疲れから救済してくれるものは何だろうと探していたら、偶然どうしまさんがRTで、その小説の最終巻が出たことを流していました。
この機会を逃したら、また一つの世界を知らずに終わってしまう。
なんだかそんな焦燥感に駆られて本を開いたのですが、見事にハマってしまいました。
メインテーマは『正しさ』とは何か?
この小説の大きなメインテーマは『正しさ』とは何か?だと考えています。
あまり具体的に話すとネタバレになるので言わないですが、あらすじでは二人の主人公が社会に疲弊して一線を越えてしまったという風に書かれているので、そこが今回のポイントなのではないでしょうか。
それぞれの家族に対するしがらみや、人間関係の複雑さの中でどう抗っていくのか、二人でいる時はせめて自由で楽になりたいという願望も許してほしいと訴えているように読んでいて思いました。
各巻の帯にはそれぞれその話の要点をおさえたフレーズが書かれていますが、これも巻を進めるごとに変わっていくのが特徴です。
登場する男女にはある共通点があるらしいが…
また、この小説を読み進めると分かってくるのですが、二人は似たような境遇がありました。
その中で本当の正しさが分からなくなり、社会の当たり前から逃げたいという思いが強くなっていく中で、これからの運命はどう転がっていくのか。神様の悪戯は僕たちを救ってくれるのか。そうした側面も考慮すると、とても深く面白い作品だなと感じました。
結論:おすすめです。
結論は、「買って正解」でした。
久しぶりに活字に触れましたが、思っていたよりも表現が砕けていて読みやすかったし、コメディ要素も多く所々思わず声を出して笑ってしまいました。
また、ヒロインのワードセンスも秀逸で、(言いえて妙だな…)と思わせてくれます。
多少官能的な要素もありますが、それ以上に人間の違った視点を上手に捉えた良い作品だと思います。
機会があれば、是非読んでみてください。